「成績が上がらない」場合の原因考察
@どうしても世俗的・刹那的なことが気になってしまう。テレビ番組や気になる友人の話題が自分の心の中心に来てしまう。
A友達からの影響をまともに受けている。自分だけ勉強をすると人間関係がまずくなるような親友がいたりする。
自分ができない状況をその勉強をしない友人に重ねて安心している。この現象は公民「現代社会」の教科書に出てきます。
B部活動に心底、熱中してしまっている。その「頑張っている」状況を学業が疎かであることを正当化する際に巧妙に利用する。
精神力と向上心に満ちた昭和40年代くらいまでの学生ならともかく、昨今の心の弱い高校生あたりでは運動系と難関大学向けの
学業との両立はほぼ不可能と言われている。
C勉強する前から「私、数学(英語etc)ダメなんです」症候群になっている。
Dその教科を教える先生に対するネガティブな感情から、その教科自体を嫌いになっている。その教科に罪はない。
E学習内容を「簡単に」理解できると勘違いしている。ある教科がわかり始め、面白くなるのは情熱と労力とを持って、
一定期間、継続学習してからの話。
F感性指数(emotional intelligence)が乏しい。感動・感銘できない人間になっている。例えば「三平方の定理」などは
その簡明さ・応用範囲の広さにある種の「感動」を抱くものだが、何も感じない人が少なくない。
G「流れ作業」症候群。勉強がベルトコンベア上を流れる商品のようになっている。漢字練習の宿題に取り組む学生を
見ているとしみじみそう思う。
H自分がかわいい。無意味にプライドが高い。だから自分のことを自分で客観化できない。よって前回の失敗を反省できない。
何かできないことを必ず他人の責任にする。
I根拠のない自己万能感・被保護感。自分は何でもできるという思い込み。今後も長年にわたって社会制度や保護者に
手厚く守られ続けるだろうという不遜な思い込み。そこから「今は自分を中心に生産性のないことを何でもやっていてもいい」という
心理が生じる。
Jチェック機能の不備。一度理解した事柄を二度、三度とチェックしないで放置している。例えば、抽象的な英単語が
どうしても覚えられず、会話でも使えない人は間違いなくこの症状に陥っている。Hの自己万能感がそうさせている。
K「勉強のための勉強」になっている。テストがあるから・入試で必要教科だから…という理由で勉強しているから
情意フィルター(affective filter)が思いっきりかかってしまい、非常に効率が悪くなっている。Eの感性指数と関係がある。
「へえー、そうなのか!」とか「なるほどなー!」と思いながら素直な気持ちで勉強できない。
L「親が怖いから勉強する」症候群。誰もが一度は経験する最悪の学習パターン。高校入試まではごまかせるかもしれないが、
有名大学合格はほとんど無理でしょう。
【救いの言葉】
孔子は「学び」の本質について2千年以上も前に実に見事な言葉で看破しています。
『これを知る者はこれを好む者に如かず、
これを好む者はこれを楽しむ者に如かず』
現代語訳: あることを理解している人は、それを好きな人にはかなわない。しかし、その「あること」を好きな人であっても、
それを楽しんでしまっている人には到底かなわない。